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2013年12月26日 (木)

スピリチュアル・エマージェンシー(精神的・霊的危機状態)

その客はあなたの内にいる、そしてわたしの内にも。
種子のなかに芽が隠されているように。
われわれは皆もがき苦しんでいる。
そこから離れてしまった人など一人としていないというのに。
傲慢さを脱ぎ捨て、心の内に目を向けるのだ。

青空はどこまでも果てしなく広がっている。
日々の失意の念は消え去り、自らを苛んできた痛みが薄れていく。
その世界にしっかりと腰を据えるとき、
百万の太陽が眼前に現れ、光を放つのだ。

カビール『カビールの書』


一部の人たちにおいては、霊的発達における変容の旅が、「スピリチュアル・エマージェンシー」(精神的・霊的危機状態)と呼ばれる危機になることがある。そうした危機のなかでは、内面の変化があまりにも急速で、精神状態が相当つらく苦しいものになることがある。これらは、あらゆる時代の聖典において神秘的道程の途上にあるけわしい通路として繰り返し記述されてきた。

スピリチュアル・エマージェンシーとは、その人間の存在全体に関わる深い心理的変容をもたらす、苦難として体験される決定的な諸段階であると定義できる。

それは非日常的意識状態という形で現れ、強烈な感情やヴィジョン、その他の諸感覚の変化、通常と異なった思考、さらにはさまざまな身体的兆候を引き起こす。こうした数々の体験は、しばしば霊的なテーマを巡って展開し、心理的な死と再生、前世の記憶と思われる体験、宇宙との一体感、様々な神話上の存在との遭遇、その他それに類する主題を含んでいる。

〈スピリチュアル・エマージェンシーの凡例〉
・変化に抵抗する
・プロセスを嫌い、信頼しない
・体験を討論したいという切迫した欲求が頻繁に起こる
・無分別にプロセスを伝えようとする(いつ、誰に、どのように伝えるのか考えない)
・自己と世界の認識が、突然急速に変化する
・困難な体験は圧倒するものとして現れ、歓迎されないことが多い
・身体がガタガタ揺れたり、震える体験。日常生活を妨害するエネルギー体験
などなど…。


大切なことは、スピリチュアル・エマージェンシーのもっとも劇的で困難な体験でさえも、霊的開示のプロセスの自然な段階であり、好ましい状況のもとでは有益に働くということを認識することである。

このプロセスは本来、治癒と変容の能力を秘めているのである。
けれども、あまりにも多くの心理的素材が無意識の様々なレベルから浮上してくるため、それに巻き込まれた人は日常生活を営む能力が妨害されてしまう。
しかし、時にはそれが劇的に現れてくるにもかかわらず、その嵐のような出来事は本来、有機体がその機能を簡素化し、過去のネガティブな刷り込みやプログラムを取り払い、治癒へと向かう試みなのである。


スピリチュアル・エマージェンシーでよく経験されるもっとも厄介で不安を抱かせる要素のなかに、恐怖感、孤独感、狂気の体験、死へのとらわれがある。
こうした心の状態はしばしば治癒プロセスに本来そなわっている避けがたい中心的な部分であるが、思いやりのある支援がないと、恐怖を呼び起こし、心を圧倒してしまう場合がある。

無意識への扉が開かれると、実に様々な抑圧された感情や記憶が解き放たれる。個的ないしトランスパーソナルな領域に特有の記憶や体験に出会うと、それと同時に恐怖、孤独、狂気、死の要素が現れることがある。過去に体験した重病や命に関わる事件その他の困惑した出来事を再び経験することもある。あるいは、複雑に入り組んで混沌としたダイナミックな兆候を伴って、生物的誕生を再体験するかもしれない。

恐れは変化のモザイクの自然な一片である。

コントロールを失う恐怖に直面すると、精神や自我は必死にしがみつこうと巧妙になる。こうした状態にある人たちは複雑な否認のシステムを創り出し、このままでまったく問題はないから変化に身をゆだねる必要などないとか、自分が感じている変化は錯覚にすぎないなどと自分に言い聞かせるのである。あるいは、ただそういう状態にならないよう努力するかもしれない。つまり恐れの感情にしがみつくことで、あまりに急激な変容からうまく逃れるのである。

このような新しい奇妙な感覚が始まると、たいていは不安を覚え、その感覚を恐怖そのものだと思い込んでしまいやすい。

集中的な瞑想の実践を行っていたある女性は自分の反応をこう述べている。
「私は導師のもとへ行き、奇妙な不安の数々について話しました。彼はそれを聞くと、『そうしたことが起こったら、覚えておきなさい。それはあなたに襲いかかる恐怖ではない。それはあなたのなかを通っている神なのだ、と』。それは私に大きな慰めを与えてくれるのです。」

あなたのもっていないものをつかむために 明け渡しの道を進まねばならない。
あなたではないものに到達するために 今のあなたとは違う道を通って行かねばならない。


スタニスラフ・グロフ 著
安藤治、他 訳
『魂の危機を超えて』、より

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