« 愛のキャッチボール | トップページ | 正しい呼吸法と適した食事が運命を変える »

2014年3月10日 (月)

頭のそうじ 心のそうじ

私は、掃除の力を信じています。

長いあいだの掃除の実践を通じて、掃除が環境を変え、人を変え、組織を変えた例を、実際にこの目でたくさん見てきたからです。
もちろん、私自身も掃除の力によって大きく変わりました。
掃除の実践がなかったら、いまの私はなかったと思っています。

昭和三十六年、私はいまのイエローハットの前身となる自動車部品卸の会社を立ち上げました。「絵に描いたような理想の会社」をつくりたいという思いで始めた会社ですが、そんな私の思いとは裏腹に、古い業界のしきたりのなかで、商売はうまくいきませんでした。商売がうまくいかないので社員の気持ちは荒み、それでまた商売もうまくいかなくなる、という悪循環に陥っていました。

そんな悪循環のなかで、もがき苦しみながら私が到達したのが、掃除でした。
商売がうまくいかず荒れていた社員のために、社長としてできることは、せめて職場をきれいにし、気持ちよく仕事に携わってもらうことだったのです。

トイレから始めて、仕事場、廊下、玄関まで、毎日ピカピカに掃除することにしました。
「どうして社長が掃除を?」
正直なところ、はじめはそのような雰囲気がありました。それでも職場がきれいになったことで、社員たちの様子は少しずつ変わっていきました。表情が明るくなり、元気が出てきたのです。そして、その空気は、当然商売にもよい影響を与えるようになりました。

環境が変われば、人は変わるのです。

そのうち、社員が一人また一人と掃除を手伝ってくれるようになり、いつの間にか私の会社は、社員全員が掃除をする会社になっていました。

やがて社外にも賛同してくださる方が増えていき、いまや全国各地、さらには海外まで「日本を美しくする会」という掃除の運動として広がっていったのです。

実際にやってみていただくとわかりますが、徹底的に掃除をすると、そこに、やった人にしか感じられない充実感と爽快感が生まれてくるものです。

だから、悩んでいるとき、ストレスを感じているとき、そんなときは、掃除をして身辺を徹底的に整理整頓すれば、頭のなかがスッキリするはずです。
掃除は、確実に人の頭のなかも変えてしまうのです。

一度の掃除でも頭がスッキリするのですから、何度も何度も長いあいだ掃除を丁寧に続けていけば、やがてその人の顔が変わり、人格さえも変わってきます。

高名な思想家であり、日本が誇るマクロビオティックという自然療法を提唱してきた桜澤如一先生の言葉に、

『掃除をする広さと深さが、その人の人格に比例する』

という名言があります。
まさに、そのとおりだと思います。

掃除とは、頭のなかを掃除することであり、そのことは同時に、心のなかを浄化することなのです。
私がみなさんに掃除の実践をお勧めする所以です。


この社会を変えていくためには、まず、一人ひとりが変わっていくことが必要です。一人ひとりが毎日、少しずつでもかまいませんから、何か人のためになることをしていくこと……そういう地味で小さな積み重ねが、必ず大きな変化につながることになるのです。

まず、人に親切にすることです。自分が困っているときほど、落ち込んでいるときほど、人に親切にするのです。

ゴミが落ちていたら、すぐに拾ってください。そのぶんだけ街がきれいになります。履き物が乱れていたら、そろえてください。次に誰かが履くときに助かります。
そのような、ほんの小さなことを徹底して、しかもなんの見返りも求めずにやりつづけるのです。

そういう平凡なことの継続のなかから、いつか非凡が生まれることを、私は身をもって体験させていただきました。そして、平凡で小さなことの積み重ねのなかにこそ、人を感動させるものが秘められているのです。

そのような感動こそが、人を動かす力になり、ひいては社会を変える力になると私は確信しています。

『十年偉大なり 二十年畏るべし 三十年にして歴史なる』
四十年以上掃除を実践してきた私から、読者のみなさまに贈る言葉です。


鍵山秀三郎 著
サンマーク出版 発行
『頭のそうじ 心のそうじ』、より

« 愛のキャッチボール | トップページ | 正しい呼吸法と適した食事が運命を変える »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1967763/55318841

この記事へのトラックバック一覧です: 頭のそうじ 心のそうじ:

« 愛のキャッチボール | トップページ | 正しい呼吸法と適した食事が運命を変える »